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星のたより星のたより

  • 寺報「妙乃見山」 投稿日:2025年05月01日

    5月1日発行 寺報「妙乃見山」

    さて今月の妙乃見山はこちらです。
    妙乃見山5
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    こどもの日

    箕浦溪介

    爽やかな風薫る5月。カレンダーには休日を示す赤い文字が並びます。子供の頃はなぜかウキウキした気持ちになった気がします。特に5月5日の「こどもの日」は特別です。

    昔から男の子に親しまれた端午の節句であります。しかし、この「こどもの日」は、決して男の子だけを対象としたものではなく、もちろん女の子も含むわけであります。要するに季節的にも非常に良い時期で、こどもにゆかりのある日として決められたのです。この日は「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに、父母に感謝する日」といわれております。

    こどもの日が定められたことは、成人の日が取り上げられたことと共に、特に次の時代の人に大きな期待をかけていることを表すものであって、すべての国民がこぞってすべての子供を祝い、その幸福を図ろうとするもので、更に子供の人格を尊重し、大人と同様に生きる権利を持つ一個の独立した人間として見ようとするものです。これに加えて、子供を育て上げるには父母のお陰であるから、こどもの日にはその父母に感謝しなければならないということが併せてその趣旨に含まれているのです。

    誕生日は「母の受難の日」ともいわれていますが、子供を産むということは母親にとっては大変な事だと思われます。取り分け、この苦しみを乗り越えて産んでくれた母親に対して感謝の気持ちを植え付ける意義も含まれているわけですが、今「こどもの日」はご両親に感謝しなければならないという意義を知っている人がどの位いるでしょうか。

    日蓮聖人は『刑部左衛門尉女房御返事(ぎょうぶさえもんのじょうにょうぼうごへんじ)』に、「母の御恩の事、殊に心肝に染て貴く覚え候。母の御恩忘れ難し」と、母の恩は特別で、心と肝に染み込んでいる。そのご恩を忘れることはできないと説示されます。子供の成長を願うことはもちろんですが、この陰に隠れている両親、特に母親の苦労をこども達に十分理解させることも大切なのではないでしょうか。