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星のたより星のたより

  • 寺報「妙乃見山」 投稿日:2025年08月01日

    8月1日発行 寺報「妙乃見山」

    さて、今月の妙乃見山はこちらです。

     

    【ピックアップ記事】今月の法話

    「身体が大事」

    相川大輔
    「記号接地(きごうせっち)」という言葉を聞いたことがありますか?
    記号接地とは「言葉などの記号を理解するためには現実世界の様々な情報を身体的な感覚を通して受け取る必要がある」という考え方です。
    例えば、私たちが「りんご」という言葉を理解することができるのはりんごを実際に手に持った時の重さや手触り、赤く丸い形、かじった時の音や感触、味、おばあちゃんによくりんごをむいてもらったなどのエピソード、これらの感覚や経験や身体を通してこの現実世界と接地しているからと言えます。幼い子どもは実際の犬を見てなでながら「ワンワン」を知り、車に乗りながら「ブーブー」を学んでいき知性を獲得していくわけです。
    しかしながら、現代のデジタル社会においては、知性の劣化が懸念されています。実際に私たちは若年層を中心にSNS、メタバース、チャット、生成AI、ゲーム世界など極端に「記号的な空間」に生きています。「いいね」や「コメント」でお互いにつながっていますが、相手の表情も声も感じない。映える美しい景色の画像を見てもその場の空気や匂い、肌の感覚は伝わらない。まさに、記号が現実と接地することなく切り離され、ぷかぷかと漂っている状態にあります。
    そんな現代の私たちに世界とつながる身体性を回復させ、知性を取り戻させるのが信仰です。
    例えば唱題とは、実際に身体を使って行います。唱題を行じるということは、南無妙法蓮華経の功徳を自分の身体を通じて現実世界に接地させるプロセスと言うことができるでしょう。
    試しに、このことについてAIにどう思うか聞いてみると「題目を唱える行為そのものが身体を通して妙法に接続するという働きを持つ」とのこと。
    現実世界に接地していないくせにうまいこと言うものだと膝を打ちました。
    但し、AIの言葉は何の責任もないので、ご利用はほどほどに。