さて、今月の妙乃見山はこちらです。
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豊かな心の実り
植田観龍
田んぼの稲穂は黄金に色づき、畑には様々な作物が収穫の時を迎えます。自然界全体が豊かさを分け与えてくれているように感じられます。この光景を前にすると、私たちは自然の恵みへの感謝とともに「収穫」という意味を改めて考えさせられます。
この実りは決して偶然に与えられるものではありません。春に種を蒔き夏の暑さの中で水を与え、手間を惜しまず育ててきた日々の積み重ねがあってこそ、秋の収穫に至るのです。
「因果の道理」もまた同じことを教えています。善き因を積み重ねれば、善き結果が来る。逆に怠りや過ちを重ねれば、それもまた必ず自分に返ってくる。秋の収穫は、因果の理を目に見える形で示してくれているように感じます。
私たちの日常生活においても同じです。誰かにかけた一言、ささやかな思いやりの行動がすぐ形にはならなくてもやがて心の実りとして自分に返ってきます。
逆に心ない言葉や振る舞いもまた知らぬ間に人との関係を損ね、自らを苦しめる結果を生み出します。
だからこそ、たとえ小さなことでも日々善き種をまき続けることが大切なのではないでしょうか。
子育てもよく似ているなと思います。子どもに声をかける一言や共に過ごすささやかな時間は、すぐ形にはなりませんが、やがて大きな心の支えとなって実を結びます。逆に忙しさの中で冷たい態度を積み重ねてしまえば、子どもの心に影を落としかねません。親の言葉や態度は、人生の畑に蒔く種のようなものです。
秋の収穫に感謝する時、自分の人生という田畑に、どんな種を蒔いているかを見つめ直したいものです。今日の一言、一つの行動が未来の自分や家族、そして子どもたちの心の実りとなります。また収穫の喜びは独り占めするのではなく、分かち合うことでさらに大きな幸福となります。家族や地域の人と喜びを味わいながら、感謝と慈しみの心を広げ、共に豊かな実りを育んでまいりましょう。