image

星のたより星のたより

  • 寺報「妙乃見山」 投稿日:2020年09月01日

    9月1日発行 寺報「妙乃見山」

    令和2年9月1日 発行の「妙乃見山」です。
    是非ご覧ください。

    一部ご紹介いたします。


    「予定は未定であり決定ではない。暫し変更がある」

    高校時代、剣道部顧問Y先生の口癖であった。

    剣道部に属していた私は一年三六五日、練習か遠征試合に明け暮れていた。

    そのY先生は、担任を持つわけでもなく保健担当の先生であった。

    先生は大学時代、東京教育大学(現筑波大)のハンドボール部で活躍し国体出場選手であったそうだ。

    なぜY先生が剣道部の顧問なのかという疑問があった。

    その昔、剣道部は荒れており、他校生徒との喧嘩が絶えないような部活動であった。

    それを見かねたY先生が顧問となり指導にあたったという。

    剣道部には学校で問題を起こしY先生あづかりとされた生徒がいて、Y先生がまさに最後の砦であった。

    先生のおかげで無事卒業できた生徒も多かった。

    剣道部の練習内容は準備体操と基礎トレーニングが約一時間、防具を着けて打ち込み三〇分、練習試合三〇分の計二時間が基本的な練習であった。

    打ち込みのあと、Y先生が来るといつも変わった指導が始まる。校外に出て河川敷をランニング。

    足下が砂で滑り思うように走れない。

    まして胴着に袴を着け、片手に竹刀を持ちながら走る。

    端から見れば歩いているようにしかみえない。

    サプライズトレーニングの前には、きまって冒頭の「予定は未定であり…」と言われたものであった。

    練習とは、毎日同じことの繰り返しである。

    ややもすると練習は苦しみしか感じなくなる。

    そこで思うのだが、お釈迦さまの教えは私たちが苦しみをどう乗り越えるかと考えるところに成り立っている。

    生きる上で繰り返し味わう様々な苦しみを生苦というが、この生苦を知りその上で苦をどう変えるかを考えながら体験し、行動することで、生苦が苦ではなくなるのである。

    今思えば、練習という苦しみを変えるために、Y先生はサプライズトレーニングをあえておこなっていたのかもしれない。

    (予定は未定/新實信導)

     


    その他記事(下記画像をクリックすると紙面をPDFでご覧いただけます)

    マムシの一撃/相川 大輔

    先日、小学一年生の次男がマムシにかまれた。お寺での法要が終わり、来客の方々をお送りしてホッとしていた時のことだ。「マムシにかまれた!」
    と次男が手を抑えながらかけてきた…

    <法華経茶話Ⅱ>根本分裂①

    釈尊の入滅後、弟子たちはそれぞれに教えを研究しその教義の部派を形成し、お互いに論争しながら教団をつくっていました…

    <星のたより>

    本紙『法華経に学ぶ現代』欄解説の筆者である「純智庵」こと中村潤一上人は、先月4日霊山浄土へ旅立たれました…

    9月の主な行事/10月の主な行事

     

    など、日常を仏教の視点から考えるとどうなるのか、仏教の歴史など、ちょっと役に立つ記事やお知らせを掲載しております。

    ぜひご覧ください。